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日本近代文学作品の紹介(8)

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『山椒魚』(さんしょううお)
 
作者:井伏鱒二(いぶせ ますじ)
生まれ:1898(明治三十一)年広島県に生まれた。
初出:1923(大正十二)年に発表された短編小説である。
ほかの作品:『屋根の上のサワン』『ジョン万次郎漂流記』『遥拝隊長』『本日休診』『駅前旅館』『黒い雨』
作品のあらすじ:岩屋に棲む山椒魚は、いつの間にか成長して岩屋の出入口に頭がつかえ、出られなくなる。自由を奪われた山椒魚は自分の身の上を悲しんだ。ある日岩屋に紛れこんだ蛙を、山椒魚は閉じ込めてしまう。山椒魚は蛙と口論し、意地の張り合いをするが、もはや両者には諦めの心しかなかった。
 
『斜陽』(しゃよう)
 
作者:太宰治(だざい おさむ)
生まれ:1909(明治四十二)年青森県に生まれた。
初出:1947(昭和二十二)年に発表された中編小説。
ほかの作品:『晩年』『ダス・ゲマイネ』『富嶽百景』『走れメロス』『津軽』『ヴィヨンの妻』『人間失格』
作品のあらすじ:没落貴族の家に生まれ結婚に失敗したかず子は、母とともに伊豆の山荘でひっそりと暮らす。南方から復員した弟の直治は上京、デカダン的な作家上原のとりまきとなり、退廃的な生活を送る。上原に接近したかず子は、いつか、上原の子を身ごもる。かず子は、弟や上原は古い道徳の犠牲者なのだと考え、古い道徳と闘おうと決意する。そして上原の子を生む喜びに新たな生きがいを見いだしていく。
 
『俘虜記』(ふりょき)
 
作者:大岡昇平(おおおか しょうへい)
生まれ:1909(明治四十二)年東京に生まれた。
初出:1948(昭和二十三)年発表の短編小説。
ほかの作品:『野火』『レイテ戦記』『武蔵野夫人』『花影』『事件』『朝の歌(中原中也伝)』
作品のあらすじ:第二次大戦中、ミンドロ島で私はマラリアに冒され、置き去りにされる。飲み水を探しているうちに、私は尽きて倒れた。そこに若い米兵が現れた。米兵は私の存在に気づいていない。私は殺されるよりは殺そうとして銃の安全装置を外すが、引金が引けなかった。やがて米兵は去った。身動きのできない私は自殺も考えるが果たせず、やがて意識不明となった私は米軍に捕えられ捕虜となった。
 
『金閣寺』(きんかくじ)
 
作者:三島由紀夫(みしま ゆきお)
生まれ:1925(大正十四)年に東京、新宿で生まれた。
初出:1956(昭和三十一)年に発表された長編。
ほかの作品:『花ざかりの森』『煙草』『仮面の告白』『愛の渇き』『禁色』『潮騒』『鏡子の家』『宴のあと』『火宅』『鹿鳴館』『近代能楽集』『豊饒の海』
作品のあらすじ:北陸の小さな寺に生まれた主人公「私」は、父から金閣寺のことを聞く。 吃りのため、外界との間に壁を作っている「私」にとって、金閣寺は途方もなく美しく心の中に描かれてゆく。父の死後、「私」は金閣寺の徒弟となるが、金閣寺が焼け落ちることをいつか期待するようになる。しかし、戦争中にあっても、金閣寺は焼け落ちずに残る。その後、「私」は金閣寺の幻影に悩まされ、逆に金閣寺を支配するためには焼かなければならないと考えるようになる。霧雨の夜、「私」はついに金閣寺に放火し、炎上する炎を仰ぎ見ながら、生きようと思うのである。
 
『沈黙』(ちんもく)
 
作者:遠藤周作(えんどう しゅうさく)
生まれ:1923(大正十二)年東京に生まれた。
初出:1966(昭和四十一)年に発表された長編小説。
ほかの作品:『海と毒薬』など
作品のあらすじ:ポルトガルの宣教師ロドリゴは、島原の乱後、厳しいキリスト教弾圧が行われる日本に潜入したが捕らえられる。ロドリゴは多くの殉教者を出さねばならないことに疑問を抱き、信徒を救うためにあえて棄教のしるしである踏絵を踏む。宣教師ロドリゴや殉教者・背教者に対し、キリスト像はひたすら沈黙を守るだけだった。その神の沈黙とは、弱者への「まなざし」としての愛であり、人間を許容する愛だった。

 

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