添加时间:2007-04-28 原文发表:2007-04-28 人气:290
本文章共4809字,分4页,当前第1页,快速翻页:
|
石炭をば 早 や積み果てつ。中等室の 卓 のほとりはいと静にて、 熾熱燈 の光の晴れがましきも 徒 なり。今宵は夜毎にこゝに集ひ来る 骨牌 仲間も「ホテル」に宿りて、舟に残れるは余 一人 のみなれば。
五年前 の事なりしが、 平生 の望足りて、洋行の官命を 蒙 り、このセイゴンの港まで 来 し頃は、目に見るもの、耳に聞くもの、一つとして 新 ならぬはなく、筆に任せて書き 記 しつる紀行文日ごとに幾千言をかなしけむ、当時の新聞に載せられて、世の人にもてはやされしかど、 今日 になりておもへば、 穉 き思想、身の 程 知らぬ放言、さらぬも 尋常 の動植金石、さては風俗などをさへ珍しげにしるしゝを、心ある人はいかにか見けむ。こたびは途に上りしとき、 日記 ものせむとて買ひし 冊子 もまだ白紙のまゝなるは、 独逸 にて物学びせし 間 に、一種の「ニル、アドミラリイ」の気象をや養ひ得たりけむ、あらず、これには別に故あり。
げに 東 に 還 る今の我は、西に航せし昔の我ならず、学問こそ 猶 心に飽き足らぬところも多かれ、浮世のうきふしをも知りたり、人の心の頼みがたきは言ふも更なり、われとわが心さへ変り易きをも悟り得たり。きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写して 誰 にか見せむ。これや日記の成らぬ縁故なる、あらず、これには別に故あり。
嗚呼 、ブリンヂイシイの港を 出 でゝより、早や 二十日 あまりを経ぬ。世の常ならば 生面 の客にさへ 交 を結びて、旅の憂さを慰めあふが航海の 習 なるに、 微恙 にことよせて 房 の 裡 にのみ 籠 りて、同行の人々にも物言ふことの少きは、人知らぬ恨に 頭 のみ悩ましたればなり。 此 恨は初め一抹の雲の如く 我 心を 掠 めて、 瑞西 の山色をも見せず、 伊太利 の古蹟にも心を留めさせず、中頃は世を 厭 ひ、身をはかなみて、 腸 日ごとに九廻すともいふべき惨痛をわれに負はせ、今は心の奥に凝り固まりて、一点の 翳 とのみなりたれど、 文 読むごとに、物見るごとに、鏡に映る影、声に応ずる響の如く、限なき懐旧の情を喚び起して、 幾度 となく我心を苦む。嗚呼、いかにしてか此恨を 銷 せむ。 若 し 外 の恨なりせば、詩に詠じ歌によめる後は 心地 すが/\しくもなりなむ。これのみは余りに深く我心に 彫 りつけられたればさはあらじと思へど、今宵はあたりに人も無し、 房奴 の来て電気線の鍵を 捩 るには猶程もあるべければ、いで、その概略を文に綴りて見む。
余は幼き 比 より厳しき庭の 訓 を受けし 甲斐 に、父をば早く 喪 ひつれど、学問の 荒 み衰ふることなく、旧藩の学館にありし日も、東京に出でゝ 予備黌 に通ひしときも、大学法学部に入りし後も、太田 豊太郎 といふ名はいつも一級の 首 にしるされたりしに、 一人子 の我を力になして世を渡る母の心は慰みけらし。十九の歳には学士の称を受けて、大学の立ちてよりその頃までにまたなき名誉なりと人にも言はれ、
|
相关文章
相关评论